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ウルヴァリン その魂の軌跡(後編)

「SCHISM」で決定的に対立したウルヴァリンとサイクロップスだが、それ以前から火種が無かったわけではない。前編において触れた暗殺部隊X-FORCEである。世の中がヒロイックエイジへ移行し、もはやその必要なしと判断したサイクロップスは、X-FORCEの解散を命じる。しかしウルヴァリンは独自に新チーム「UNCANNY X-FORCE」を結成。しかもサイクロップスにさえその存在を知らせずに、秘密裏に活動を続けている。
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メンバーはアークエンジェル、サイロック、ファントメックス、デッドプール。いずれもウルヴァリン同様、心に闇を抱える者たちである。ウルヴァリンは言う。「闇を吐き出すことは出来ねえ。だったらせめて世の中を良くするためにそいつを使おうぜ」
ここでの彼は、もはやサイクロップスの命令のまま行動する単なる兵士では無い。


新しい恋人も得てひと時の平安を味わうウルヴァリン。そんな彼に突然の災厄が降りかかる。
「WOLVERINE」「WOLVERINE &The X-MEN」そして「SCHISM」を手がけた現在のウルヴァリンのメインライターJASON AARONが仕掛けた、もう一つの重要なターニングポイント、それが「WOLVERINE: WOLVERINE GOES TO HELL」である。
 
謎の組織RED RIGHT HANDによって、その魂を地獄に送られてしまったウルヴァリン。しかも彼の肉体は悪魔に乗っ取られ、彼の愛する人々に襲いかかる。かろうじて地獄から脱出したウルヴァリンだが、悪魔によって操られた肉体は自由にならない。精神世界で悪魔と戦うウルヴァリンだったが、その間に現実世界では、サイクロップスの指令によりマグニート・ネイモアら殲滅チームが彼を攻撃しようとしていた…

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恋人メリータやX-MENの女性陣の助けでようやく自分の肉体を取り戻したウルヴァリンは、自分を地獄へ落とした組織への復讐を誓う。RED RIGHT HANDのアジトを突き止め殴り込みをかけるウルヴァリン。立ちはだかる傭兵たちMONGRELを1人、また1人と倒し奥へ進んでいく。だが組織の首領である老人はその光景を見て不気味な笑みを浮かべていた…

(以降、非常にショッキングなネタバレがあるので、気になる方はご遠慮ください)

MONGREL全員を血祭りに上げ、ついにアジトの奥へたどり着いたウルヴァリン。しかし彼が目にしたのは、毒をあおって息絶えた数十人の男女の姿だった。
実はRED RIGHT HANDとは、これまでの長いウルヴァリンの人生の間に(本人が知る知らないに関わらず)命を奪ってきた人間たちの遺族だったのである。愛する者を奪われた彼らは不死身の男ウルヴァリンに復讐するために悪魔と取引までして彼を地獄へ送ったが、復讐はそれで終わりではなかった。彼らはダケンを抱きこみ、ある情報を得て計画を練っていた。首領格の老人が残した死者のメッセージが恐るべき真実を告げる。

実は5人の傭兵MONGRELは、ウルヴァリンの子供だった。そうとも知らずにウルヴァリンは自分の手で、自分の子供を殺してしまったのだ。

それがRED RIGHT HANDの本当の復讐だった。真実を知ったウルヴァリンは、慟哭する…
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「俺には人間の資格は無い。俺は獣だ」
思いつめたウルヴァリンは全てを捨てて、山の中で獣のような生活を送る。しかし神の導きか、偶然悪人に殺されそうになっている子供たちを助けたウルヴァリンは、迎えに来たメリータやX-MEN・アベンジャーズの仲間たちと共に、もう一度ヒーローとしての生活に帰る決心をするのだった。
しかしこの事件は、ウルヴァリンに自分の生き方をもう一度考えさせるのに十分な出来事だった。


そんな時に起こったのが「SCHISM」である。

元エグゼビア学園の生徒だったキッド・オメガが起こした騒動により、再び世界にミュータント弾圧の空気が高まる。センチネルが各地で暴走し、それに対処するためにX-MENは世界に散らばった。しかし全ては新たにヘルファイアクラブのブラックキングとなった少年ケイド・キルゴアの策謀であった。ミュータント博物館の開会式で残りのX-MENを襲撃したヘルファイアクラブは、エマ、マグニートら主力メンバーを戦闘不能にしてしまう。彼らを死から救えるのは、偶然その場に居合わせた若きミュータント、イディだけだった。
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サイクロップスの命令で、ヘルファイアクラブの兵隊を殺害しX-MENの命を救ったイディ。しかしそれは14才の少女に殺人者の業を背負わせることだった。サイクロップスに食ってかかるウルヴァリン。しかし事態はそれで終わりではなかった。

キルゴアの残した新型センチネルが、ユートピアに向かって進撃を始めたのだ。大人のX-MENたちは世界各地に散らばりすぐには戻ってはこれない。残っているのはホープ、イディら若者たちだけだった。サイクロップスは彼らに自分と共に戦うように求める。しかし、もう子供たちが傷つくのを見るのは耐えられないと感じたウルヴァリンは、爆弾のスイッチを手にサイクロップスに迫る。自分が爆弾でセンチネルを始末するから、他の者は避難させろと。ミュータントが弱腰なところを世界に見せたくないサイクロップスは、あくまで戦うことを主張する。
「俺たちはどこかで道を間違えたんだ、スコット。子供たちを兵隊にする様になっちまってからな」「お前がそんなに繊細だとは思わなかったぞ、ローガン」
そしてついに激突する2人…
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なんとかセンチネルを倒したX-MENだったが、ウルヴァリンの心は晴れなかった。そんな彼にイディが言う。
「自分が怪物だってことを受け入れれば、人殺しなんて何でもないわ。私わかったの、X-MENになるのがどういうことかって」
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かつて自分は闇の世界にいた。しかしX-MENに出会い、家族をそして希望を見出したのだ。しかし今、目の前にいる少女は、X-MENになるのは絶望を受け入れることだと言っている。
何かが間違っている…そう強く感じたウルヴァリンはサイクロップスと袂を分かちユートピアを出て行く決心をする。
ウルヴァリンと、キティ、アイスマンら賛同者は、懐かしのX-MENの故郷ニューヨーク・ウェストチェスターに帰ってきた。昔のように学園を再開させるためだ。子供が子供らしく暮らせる場所、ミュータントが希望を取り戻せる場所を。


こうしてウルヴァリンは、学園の校長という不釣合いな責任を背負う羽目になった。らしくない、と思う者がいても当然である。しかし筆者は、これをウルヴァリンというキャラクターの「成長」だと捉えたい。彼はようやく自分の人生の目的を見つけたのだ。
ただしこれで彼がソフトになったのかと言えば、それはどうか?サイクロップスが必ずしも間違っているわけではなく、ミュータントを巡る状況は確かに過酷である。学園を始めたからと言って、それは平穏な生活を意味しないだろう。更なるトラブルが待ち構えていることは容易に想像できる。しかしだからこそ、「ウルヴァリン校長先生」なのではないか?彼はそれこそ先人の指導者チャールズ・エグゼビア教授とは全くタイプの違う男だ。学園を、子供らを守るためなら、ダーティーな手段も平気でやりかねない。どんな規格外の校長になるか、それもまた楽しみである。

そう、ウルヴァリンとジーングレイ学園の物語はこれから始まるのだ。

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