ウルヴァリン:エネミー・オブ・ステイト レビュー

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 ウルヴァリン:エネミー・オブ・ステイト (ShoPro Books)


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「野獣に良心は無い。俺が野獣なら、この場でお前を殺している」


<ストーリー>
 かつての知人から「息子を誘拐された」と助けを求められ、日本に向かったウルヴァリン。だがそれは、暗殺忍者集団ハンドとテロリスト組織ヒドラが仕掛けた巧妙な罠だった……
 1か月後、重傷を負った状態でシールドに保護されたウルヴァリンは、殺戮と破壊を繰り返しながら米国の機密情報を奪い、逃走してしまう。彼はすでにハンドによって洗脳されていた。最も危険な人間兵器が悪の手に落ちたのだ。
 そして、ウルヴァリンはかつての仲間だったヒーローたち、ファンタスティック・フォーデアデビルX-MENを次々に襲撃していく。
 ニック・フューリーは、ハンドを熟知する暗殺者・エレクトラと共に、ウルヴァリンの行方を追うが……
 一方、ハンド・ヒドラ内部でも権力抗争が起きていた。新たに台頭してきたのは日本出身のミュータントであり忍者でもある、ゴーゴンという男。そして彼の率いる白光黎明会だった。

 やがて正気に戻ったウルヴァリンは、自らに、そして周囲の人間に死をもたらした者に復讐を誓う。
 ハンド、ヒドラ、白光黎明会、ゴーゴン。たとえ敵が何万人いようと、その全てに血の贖いを。
 ウルヴァリンの怒りはエレクトラ、フューリーを巻きこみ、ゴーゴンとの最終血戦が始まる!!


<感想>
 人気ライター、マーク・ミラー(『キック・アス』『アルティメッツ』)が、ベテランアーティストのジョン・ロミータJrと組んで送り出したアクション大作。
 マーク・ミラーは当時のインタビュー(『Wizard: Wolverine Special』2004年刊)で、このストーリーを「バイオレンスと死と破壊と混沌への賛歌」と称している。なるほど、次から次へとクレイジーな展開が起こり、352ページと大部ながら最後まで飽きさせない。
 本作は連載当時は二部構成で、前半がタイトルの「エネミー・オブ・ステイト」、そして後半ウルヴァリンの洗脳が解けてからの復讐劇が「エージェント・オブ・シールド」と題されていた(つまり本書はTPB二冊分なので、分厚いのも道理)。 

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 前半のヒーロー VS ヒーローも楽しいが、個人的には後半、ようやくウルヴァリンが洗脳から解けてからの大復讐劇が「キタキタ~~!!」という感じで、大変シビれます。
 ここではエレクトラ以外のヒーローが蚊帳の外に置かれ、「シールド VS ハンド&ヒドラ」の仁義なき戦いとして描かれている点に注目。だからこそ「エージェント・オブ・シールド」という副題なのだろう。事ここにいたっては、お行儀の良いスーパーヒーローは、もはや出る幕が無い(血みどろの戦いが終わった直後に現れるスパイダーマンは、日常への回帰を象徴するようだった)。

 真にマーク・ミラーらしい暴力と血みどろの世界。しかし今回は、いつものブラックユーモアは控えめだ。
 むしろ全編を覆っているのは、言い知れぬ悲しみである。救えなかった、一人の少年の命。それがウルヴァリンを突き動かすのだ。

 マーク・ミラーは、ウルヴァリンのキャラクター像について、こう語っている。
「ウルヴァリンの本質は、"人間の冷酷さにより怪物に変えられた、とても優しい男"なんだ。苦痛と暴力の下に、まだ善き心が残っている。彼は、スーパーマンよりもはるかに人格者だよ。人類が彼にしたことの後に、他の誰が許すことができる?彼は、エグゼビアの共存の夢を誰よりも信じてるんだ。人類とミュータントが衝突した時、どれほどの苦しみが起こるかを見てきたからだ。
 これが、日本人の武士道が、あれほど彼の心に響いた理由だ。彼は誇り高い男で、正しいことを為すためなら、どんなことでもする」
 ミラーは本作の前に『アルティメットX-MEN』で別バージョンのウルヴァリンを書いたが、ミラーらしく道徳心に欠けた男になっていた。しかしオリジナルのウルヴァリンに魅了されていたミラーは、その歴史を尊重し本作を書いたことがわかる。
「(アルティメット版との比較を聞かれ)ニューテイストのコーラと、クラシックなコーラを比べるようなものだ。オリジナルには勝てない」

 マーク・ミラーは本作について、「ウルヴァリンに関するアイディアを全てぶちこむ。デアデビルにとっての『ボーン・アゲイン』、バットマンにとっての『イヤーワン』のような、ウルヴァリンの決定版にしたい」と意気込みを語っている。
 その野心がかなえられたかは読者それぞれに判断してもらいたいが、ミラーの手がけたウルヴァリン二部作(本作と続く『オールドマン・ローガン』……近未来を舞台に"ウルヴァリン+許されざる者”といった話。こちらも傑作、求む翻訳!)は、ファンの間でも高い人気を勝ち取っている。



 Wolverine by Mark Millar Omnibus HC
 マーク・ミラーの作品をまとめた、ハードカバー豪華本。


 最後に余談になるが、上記のインタビューの中でスーパーヒーローのコスチュームについて言及されている箇所がある。ちょうど、このエピソードの少し前、『アストニッシングX‐MEN』で久しぶりに、ウルヴァリンは黄色と青のコスチュームに復帰している。それまでの数年間は、黒いレザーのジャケットか私服で活躍していた。
 結果的に言うと、コスチュームに戻ったのはタイミングが良かったと言える。特に前半、洗脳された間はマスクで表情が隠れることが大きな効果を上げていたからだ。
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 マーク・ミラーが「コスチュームは、スーパーヒーローにとって欠かせない物だ」とコス肯定派なのに対し、ジョン・ロミータJrが「僕は、タイツのコスチュームはどれも好きじゃないんだ。だってちょっとバカみたいだろ」と、否定派なのが面白い。後年このコンビは、現実の世界でコスチュームを着てスーパーヒーローごっこに興じる人々を描いた怪作『キック・アス』を生み出すことになる。
 
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お久しぶりです。
新作映画がついに今日公開ということもあり、ウルヴァリン邦訳ラッシュが続いていますね。
ネタ的な扱いを受けることも少なくない彼ですが、己の信念に付き従う姿は他のどんなヒーローより痺れますねぇ。
ヒュー・ジャックマンの原作再現率も素晴らしい、身長以外はww

ウルヴァリン:SAMURAI、見てきましたよー
MONDOさんのご感想もツイッターで拝見させて頂きました
かなり面白かったですね
アクションも良かったし、終始英語と日本語が飛び交うカオスな空気も◎。
なによりキャストがみんな素晴らしかった。
日本の描写がズレているとの意見をよく見ますが、あれは取材不足とかではなくむしろ日本人視聴者に「日本こんなんじゃねえよwwww」と突っ込ませるためにわざと「なんか違うニッポン」を描いている印象。

No title

>おかきさん
映画、面白かったですね!ブログでも改めて感想を書こうと思ってます。
日本描写は、アメコミ原作ゆえにわざとやってる部分と、
天然で間違ってるところが混在してる感じですねw
真田広之氏が、だいぶ指摘してくれたらしいですが。

>MONDOさん
コメント連投失礼します。
そういえば「それは右でないか。」みたいな件もありましたしねwww
それでも暗殺部隊としての忍者などの描写はしっかりしてましたよね。
「そんなアクロバティックな剣道ねーよww」とは思いましたが
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