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『バットマン:ノエル 』 レビュー


バットマン:ノエル
リー・ベルメホ (著), 高木亮 (翻訳)
小学館集英社プロダクション (2011/12/17)

クリスマス・イブの夜―。最大の宿敵を追い求め、闇の騎士は凍てついたゴッサムシティを駆け抜ける。だが、奇妙な出来事が次々と起こり、ついには彼の魂そのものが存亡の危機に晒されていく…。異能の絵師が魅せる極致。(Amazon商品の説明)

良いニュースがある。『バットマン:ノエル』は傑作だ。歴史に残るような大作か?というなら答えはノーかもしれない。しかしこれはクリスマスにふさわしい、愛すべき一片の寓話だ。
予想に反し、ここでは超自然現象(アメコミではよくある類の)は何も起こらない。キャットウーマン、スーパーマン、ジョーカーがそれぞれ「クリスマスキャロル」の過去・現在・未来の精霊の役割で登場するが、彼らは生身の彼ら自身である。
この物語は徹頭徹尾、リアルな世界の話だ。そしてそれでいて、小さな「奇跡」の物語なのである。
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この物語に登場するバットマンは、極めて人間くさい。悪党との戦いに溺れるあまり周囲への思いやりを忘れている、孤独で「嫌なヤツ」として登場する(なにしろスクルージ役なので)。風邪までひいて、始終ゴホゴホやってる始末。そんな彼に、キャットウーマンはかつての楽しい「追いかけっこ」をやっていた時代を思い出させ、スーパーマンは周囲の人間が彼をどう思っているかを教える(本書のスーパーマンは、珍しく?バットマンより優位に立っていて、それでいて彼に対する思いやりにあふれていて素晴らしい。これぞスーパーマンだ)。そして最後にジョーカーが(意図していたわけではないが)、バットマンに未来を見せる。彼が大事にしていた人たちを裏切り、誰にも省みられない…そんな悲しい未来を。
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もしあなたが、暗くハードボイルドでクールで頭脳明晰で、どんな超人でも倒してしまう…そんな格好良いバットマンを期待するなら、本書のバッツには少々がっかりするかもしれない。しかし時にはこんなバットマンも良い。バットマンだって人間なのだから。
リー・ベルメホは本書についてのインタビューでこう語っている。「現在のバットマンはグリム&グリッティの典型だが、長い歴史があるのだから、もっといろいろなバージョンがあってもいいんじゃないかな」
まったく同感である。『ダークナイト・リターンズ』のイメージが強すぎるせいか、バットマン=暗い印象があるが、今なおかつての明るいバットマンのファンも多いし、実際のところクリエイターの数だけ色んなバットマンがあるのだ。そういう懐の深さがバットマンというキャラクターの最も大きな魅力だと思う。(ちなみに私にとっての一番のバットマンは、未だにアニメ『バットマン』シリーズだったりする。)ああ、でもベルメホ先生、映画の『ダークナイト』が非人間的だってのはちょっと異論が…

そういうわけで、お勧めの一冊。細かい設定を知らないアメコミ初心者が手にとっても大丈夫。なおまだ判断が付かないという人には、下記に原書のプレビューのリンクを貼っておいたのでご覧を。英語だけど、雰囲気は掴めるだろう。
Exclusive Preview: Superman Plays Christmas Spirit in Batman: Noel
Batman Noel Exclusive Preview
THE BAT SIGNAL: Lee Bermejo On "Batman: Noel"

評価:9.0

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